あそびかたを知らない



「暇だね」
「暇だね……」
「やることないね」
「ないね」
「朝なに食べた?」
「食べてない」
「おなか空かないの?」
「べつに」
九月にもなってこれは詐欺だ。じっとりとやる気のでないまま二人で寝そべって暇を持て余していた。
「なんか予定ないの?」
「なにも」
さっきから返事みじかいね、と小さく笑って青山がぺたりと寝返ってうつ伏せた。制服とは違うゆるい襟元の油断した隙間から白い首がのぞいて、いやしかしなんで僕はこんな薄っぺらいのに欲情できるんだろうなんて思った。
「や……口開くのもめんどい……あー」
「ねー」
寝返った拍子にぺらりとめくれていたTシャツからのぞいた脊椎をひょいとなぞってみた。
「ひゃ」
「ひまー」
「本よめば」
「もう読んだ」
「……」
「……」
「あついね」
「あついね……」
「なにする?」

退屈で仕方ない昼下がり、

「する?」


2008.09.05