彼女は恋がお上手
決死の思いで告白して、僕と彼女はお付き合いしているはず、なのだ。賢そうな眼鏡に色白の肌に、声が可愛いところとか案外運動神経がいいとこも好きだった。ひとつ僕に誤算があったとすれば、彼女は僕が思っていたよりもずっとしたたかだったということだ。
「ひゃ!」
さらっと僕の背中に手をつっこんで背中をなぞって、藤吉さんはにんまりと笑った。
「あのねえ、尾てい骨は尻尾のあとなんだって」
わりとしょっちゅう気まぐれに触ってきてはあっさり去っていく。これってもしかしなくとも立場逆なんじゃ、
「きみはあと一歩何が足りないって、色気が足りないのよねー」
「いっ……は?」
「そうだ、芳賀くんあたりとちょっと一回やってきてよ!」
「は、が?や、ちょ、っていうか、ええ?」
「そんで感想聞かせてよ、参考にするから!」
……そうは言っても僕はあなたが。
爽やかに言い切った彼女は非常に満足気だった。あーかわいい。どうしたものか。
2008.09.07